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『「タレント」の時代』 [本]

ジョブズがあこがれた会社が長い間不振だが、この本を読むといままで漠然と感じていたことの、ある部分が分かるような気がしてきた。


「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論 (講談社現代新書)

「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論 (講談社現代新書)

  • 作者: 酒井 崇男
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/02/19
  • メディア: 新書

 このなかで興味がある記述としてはまず、経営学やMBAが役立つ業種は限られているということだ。

189ページより引用

「MBAのプログラムでは、本書で述べてきたような設計情報の創造やノウハウ創造のような、知的資産をいかにして作り出すかというプロセスについては一切教えていない。その代わり、他人のつくった資産や天然資源のような有形の資産を評価したり売買したりといったことが教えられている」

イノベーションをもたらすことを期待されている企業にとって、経営学が大きな発言力があると、その企業の目指す働きは制限されてしまうのではないだろうか。

次に面白なと思ったのはトヨタの主査制度だ。1車種について、企画・設計開発から製造まで、主査が大きな権限と責任を持って関係者を動かしてゆくというやりかたが、大変よく機能し好業績に貢献しているらしい。

一方エレクトロニクス関係では、(自分の限られた経験だが)日本企業が世界を席巻していた頃は少人数のグループで設計開発まで、上の引用にある「設計情報の創造やノウハウ」をつくりだしていたが、あるころから組織が大きくなり、権限と責任がどこにあるか明確でない雰囲気が出てきたと感じた。

いまの調子の悪い企業では以前のようには組織が機能していなくて、「設計情報の創造」の優位性を発揮できなくなっているのだと思うが、どうしたら改善できるかというと、簡単ではないのだろう。

このところ、業績の良い会社が多くなったが、トヨタのように設計情報の創造に優位ある組織への転換に成功している、というような気があまりしない。ひょっとすると業績低迷のソニーやシャープは一歩進んでいて、その組織の転換に苦労しているのだろうか。



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